選手はバイクの整備方法も身につけないといけない

レーサーの良し悪しを決めるバイク整備スキル

オートレースでは操縦テクニックだけでなく、バイクの整備も非常に重要です。
なぜなら整備の良し悪しがレースの勝敗にダイレクトに関わっているからです。

選手たちはレースでの勝利をつかむために、バイクの整備技術を身につけ、整備費用もケチらず投じています。
最高のマシンコンディションに仕上げることは勝負の結果だけでなく、レーサーの安全にも直結するからです。
また、万全の態勢でレース本番に臨むことで、思い切って激しい戦いを展開できます。

整備はバイクのあらゆるパーツに対して行われますが、もっとも気を遣うのはエンジンとその周辺パーツです。
バイクの心臓であるエンジンは、本体もその周辺部品も非常に重要ですから、定期的にオーバーホールをして点検や調整などを行います。

エンジン周りで特に重要なのがクランクです。
エンジンの心臓部ともいわれており、エンジンをなめらかに動かすために欠かせない部品です。
エンジンを燃焼させるシリンダーやピストンは消耗が激しく、常にチェックが欠かせません。
このほかにも、メタルやロットなどエンジン周りのパーツは数が多く、どれもエンジンの動きに大きな影響を及ぼします。
とてもデリケートですから、細心の注意を払って整備を行います。

エンジンの他には、ミッションも重要なパーツです。
オートレース用のバイクには、ローとトップの2つのギアしかなく、ローでスタートしてトップギヤにチェンジした後は、アクセルワークだけでスピードの調整を行うからです。
この他にも、クラッチやフレーム、フォークなどの整備も行います。

オートレースならではの三角タイヤ

タイヤもバイクの整備では欠かせないパーツで、オートレースでは最高速度は時速150kmにも達します。
地面と接するタイヤは、レースの勝敗を決める大切なパーツです。
ピカピカの新品のタイヤは、そのままレースに使うことはできません。
なぜなら、オートレースのコースは500メートル楕円形をしており、左側に傾斜しているからです。
オートレースはこのコースを左回りで走ります。

このため、走行中はバイクを左に傾けて走ります。
一般的なタイヤは直線走行を想定して作られており、左に車体を傾けて走るオートレースでは地面をグリップできません。
オートレースでは、断面を三角形に尖らせた「三角タイヤ」と呼ばれる状態に整備し、バイクを傾けてもしっかりと接地するように作り替えるのです。

エンジンやタイヤの調子は、季節や天候によっても左右されます。
レースごとに最適なコンディションを保つために、整備はとても重要な仕事です。
このため養成所の授業でも、整備技術はみっちりと教え込まれます。
オートレーサーにとってバイクは一心同体の相棒ですから、自分の一部だと思って大切にメンテナンスを行っています。